妖精スターティの故郷話その5
★妖精スターティ:『ホイ、妖精スターティの今日の小話、9回目です。知らない方は、知らぬが仏で・・・
ホットケーキ#
・・・うぁ、黒こげ?
シリーズ9回目“妖精スターティの故郷話その5”ですよう。だれてきた?
★“意志を持つ石”から、ディモンピクシーナイト「ディスマス」の主(あるじ)の居場所を聞き出そうとしてるとこからです。
『・・・であるからして、すなわち、“銀の城ムンシル”の地下に主は居る。』
・・・へ?・・・
★私は、寝ぼけ頭で、何が起こったのかを必死で考えます。えーと、なんだっけ?
『どうやら、ディモンピクシーの主は、“銀の城ムンシル”の地下らしいぞ。』
ワインで顔を赤くした、岩石の妖精さんが、教えてくれました。
あー、そか!・・・えと、『“銀の城ムンシル”って何?』私は、尋ねます。
『・・・銀の城ムンシルについて語ろう。成り立ちを話す前に・・・』
“意志を持つ石”が、語り始めます・・・って、うわぁ!また、長話?
『ムンシルならば、ワシが知っておる、ゆえに語らずともよいぞ石よ。』
岩石の妖精さんが、“意志を持つ石”をつかんで、私の腰に下がった袋にねじ込みました。
私の袋は、魔法の袋なので、沢山いれても、軽いのです。膨らまないし。
『しかしな、妖精スターティよ。ムンシルの付近は、ルーンエルフの縄張りじゃ。
近づくのは容易では、無いぞ?』
私は、尋ねます。
『ルーンエルフって何ですか?』
『ルーンエルフとはな、創造神が戦争に使うために生み出した、妖精じゃ。
今では、神から野放しにされ、ただの、凶暴な獣みたいなものになっているがの。』
岩石の妖精さんは、爺さんな顔をしかめます。
んー、そんなこと言われても、女王様の首は、そこに行かないといけません。
でも、神様が戦争用に生み出した妖精さんがいるのかー。
『もっとも、ルーンエルフは、飛翔できぬから、お前さんに、危険は、無いじゃろう。』
え、そなんですか?なーんだ。簡単ですね。
『しかし、案内人のワシは、飛べぬ。』
あ、そか。どーしましょう?
『ワシは、地中を行くから・・・そうじゃのう、旗のついた棒でも持って進むかの?
それを目印に、飛ぶとよい。』
あ、そーですね。なーんだ、楽勝ですね。
★“呪われた冒険者”の店を後にして、北へと、地面から伸びた旗が進みます。
『リズアさん、さようなら~』 私は、ごあいさつします。
『永遠の別れでないことを祈るわ』
リズアさんが、物騒なことを言います。
★ここから、北ということは、ミディは、まったくの外れを探していて、エンディが、一番近くを探していることになります。てことは、教えてあげないとダメです。
腰の袋から、巻物を取り出して、呪文を探します。えとえと、
『ゼルガ・シルフィ・ディア・フレン』
巻物に記された呪文に、チョット用件を付け足します。
『ミディへ、女王様は、北のムンシルにいます。戦闘妖精ルーンエルフに気をつけて!』
『ゼルガ・シルフィ・ディア・フレン・・・
エンディへ、女王様は、北のムンシルにいます。戦闘妖精ルーンエルフに気をつけて!』
巻物から光が放たれ、風が巻き起こります。風は、北と南に流れていきました。
気がつくと、岩石の妖精さんの旗が、かなり先へ進んでました。わわ!まってまってー!
★しばらくして、風が北のほうと、南のほうから流れてきて、ミディとエンディの声がしました。
『スターティへ、エンディです。ムンシルのことは知ってます。
先に行ってますから、ムンシルの近くにある灰色の石塔にきて下さい。
ミディにも伝えました。』
さすが、エンディ、物知りです。近くに、石塔があるのですね。待ち合わせ。
『スターティへ、ミディは、笛を吹いて、バトンを鳴らして楽しいです。』
ふーん、ミディは、楽しくやってるのね・・・ってナヌーー!?
ううーん、一応、エンディからミディにも伝言がいってるみたいだから・・・大丈夫かな?
『おい、スターティ、疲れたからここいらで休もう。』
岩石の妖精さんが、地面から爺さんな顔を出して言いました。日も暮れてます。
★お昼ごろには、エンディの言う“灰色の石塔”が見えてきました。
『あ、あれかなぁ?』
『どれじゃ?』 爺さんな顔が、地面から覗いて石塔を伺います。
と、同時に、真っ二つです。・・・真っ二つ?
沢山の包丁が、岩石の妖精さんの頭に突き刺さり、小柄な子供たちが、岩石の妖精さんを、地中から引きずりだしました。
木陰から、小さな矢が、弧を描いて雨のように空から、降り注ぎます。
『ひええええええええええええ!!』
矢の雨から逃れようと、私は、木陰に向かって突進しました。
木陰には、包丁や、弓を持った、小柄な子供たちが潜んでいて、突進してきた私に、ビックリしながら手にしたモノを突きつけてきました。体をひねってかわします。
止まったら負け!と思った私は、石塔に向かって、飛んでいきました。
振り向きたいのに振り向けません。
背後から、矢や石や、包丁が飛んできます。
泣きながらひたすら突き進みます。
★いくつかが身体に当たって吹き飛びながら、石塔の外壁までたどり着きました。
中に入れる窓を探します。
高いところに窓というか、穴があるので飛び込みます。
壁というか柱にぶつかって、石床に落ちました。ギャーギャーと甲高い声が、下のほうから聞こえてきます。私は、ガタガタと震えるばかりです。
『スターティ?スターティ!大丈夫?』
エンディです。
私は、我に帰って、壁穴に顔を覗かせて、叫びました。
『岩石の妖精さーーーーーーぁん!』
岩石の妖精さんが居た辺りには、沢山の、緑の服を着た、小柄な子供たちが、群がっていました。
『あれが、ルーンエルフよ。この石塔には、結界が張ってあるから入っては来ないわ。
・・・だれか、いっしょに居たの?』
エンディが言いました。
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